MG①
2021.08.25

『自然の森M.G.ユースホステル』人儲けのホテル

  • Share on

残したいものは、人の集まる場所

〜〜〜〜〜〜

 

上下町山間の四畳半の家から始まった「自然の森M.G.ユースホステル」。全国から人々が集う場所として令和元年で60周年を迎えた。そのユースの運営、また上下駅で「まんまる屋」を運営する和知啓子さん。彼女にユースの歴史や人が集まる場所への想いを聞いた。

 

〜〜〜〜〜〜

木のテントを設置

木のテントを新しく設置したので、M.G.ユースに改めて力を入れてやろうと思っています。以前、助成金を活用してユースの庭にあるテントを木のテントに変えたんです。テントを変える前は、台風や大雨の時には、とんでいかないように倒していました。作業的に女性だと大変で。

 

 

そんな話を、ユースに泊まっていた方にしたら「良いテントがあるよ」と建築設計の先生をご紹介してもらい実行しました。

 

「木のテントって良いでしょ。」

 

それから商工会へ活用できそうな助成金などないか相談に行ったんです。そしたら助成金も採択されて。「やってみたい」と思って人に話していたら、人のご縁で形になっていくものですね。それから時間がない中、専門家や仲間の協力のもと何とか設置することができました。

 

もともと木のテントは、熊本の震災後の復興のために設計されたそうで、プレハブじゃなくて、木の温かみを感じれる住居に住んでもらいたいという想いが込められています。バラして移設することもできて、今では、一般の住宅に変えて使われたりもしているって聞きました。

災害が起こった時の為のテントではあるんですが、私がやってみたいのは、防災訓練みたいな形じゃなくて、テントで集まった人たち一緒に面白がっていざという時の備えをしたいなって。

空き缶でランタンを作るとか、自然やあるもので工夫して必要なものをつくるとか。そういう経験をしていれば、役に立つんじゃないかなと思っているわけ。

 

 

天窓や囲炉裏といった仕掛けを付けて欲しいってオーダーしました。火を囲んで、お酒飲みながら星空を見るっていうテント。ものが無いことを楽しんだり、星空を見て「綺麗だね」っていうような贅沢な時間を想像しています。初めての方も、今まで宿泊されてきた方々にも新しい木のテントを利用してもらえたら嬉しいです。

想いを継いでM.G.ユースホステルの運営

自然の森M.G.ユースホステルは、森岡まさ子さんが、夫の敏之さんと共に昭和34年に開設された広島県で最初のユースホステル。「平和の大切さを若者に伝えたい」という想いから、若者の交流の場の提供と平和の尊さを伝えてきた場所です。手作りで少しずつ建物を整備しながら、多くの若者が訪れる場所になっていきました。全国で5本の指に入るほど有名なユースで。いつも人が泊まりに来ているようなホテルでしたよ。

 

「ママも色々なことがあってね。」

 

秋田から泊まりに来ていたお客さんで、自身でもユースホステルをしたいという夢がある人がいて。35年位前に彼はヘルパーとしてママの手伝いをするようになって。数年後、森岡家の養子にならないかということになり、ユースの後継者になられたんです。

 

ママからすると、もう安泰と思っていた時期。だけれど彼が病気をされて、秋田に帰ることになってしまって。それから地元の企業がユースを買い取って運営をしてく形になりました。それがきっかけで、ママは失意のどん底に落ちたような状態になってね。私はそんなママが心配で、ちょこちょこ顔を出していたんです。

 

自分の思い出の場所が他の人が入ることによって変わるというか。旦那さんと一緒に形にしていったもの、例えば手作りのペンキを塗ったテーブルが外に出され、新しく豪華なテーブルになったりね。別に悪いことじゃないんだけれど、どこか寂しさを感じていたわけよ。

 

「もしこの世に神様が存在するんだったら、私がユースをやりたい!」

 

って私が口に出してしまったんです。あの時は、落ち込んでるママをどう収めるかって考えて口に出したんだと想います。(汗)

 

それから10年後、上下町が府中市に合併する時に、買い取った会社がユースを市へ寄付するということになり休館に。そんな時に、ママが私の言葉を思い出して声がかかったんです。

 

今しかできない選択。やるかやらないかの選択。

「やりますって。」

それが45歳の時。それで仕事も辞めて、全くやったことのないホテルの運営を始めることになりました。

大変さも楽しむ

オープン前は、半分は上手くいかなくてもいいかなとか、できない言い訳を探すわけよ。例えば、市とユースホステルの土地の契約とかなんて私にはできないって感じで。でも、隣街の知り合いが「書類は私が作ってやる」って言ってくれたり、提供する料理もできないって思っていたら、レクリエーションクラブで料理をしていた方がたまたま職を探していて「一緒にやらない?」と声をかけたら、それもクリアできてしまって。できないって言えなくなりましたね。それから必死でやってからね。

 

再開日から人がわんさかと来て。初めからドタバタしていたのを覚えています。それから、ママを訪ねていろんな人が急に来られることも多々あって。そんな対応も、レクリエーションを経験していたので「何とかなる」という感覚で何とかやってこれました。

 

「楽なことはすぐ過ぎ去る。それに心に残らないよね。」

選んだからには大変さも楽しまなきゃ駄目。後になって「あの時は大変だったね」と、一緒に振り返る事のできる仲間や友達が生涯の友になるよね。もちろん、やってる時は必死。でも「その経験があったから今がある」と語り合える日が来るって思っていますね。

 

いつも思うのは、何かが起こったときに柔軟に対応できる心の余裕が必要ってことです。あまり頑張りすぎると上手くいかなくなった時に、自分が傷ついたりとか落ち込んだりとかする。でも案外そういう時って、次のチャンスがどっかに転がっているのに気づけないんよね。

私も、昔は休みなくやってたけど、ある時、自分の休みは自分で作ればいいんだって気づいて。「今日はお休みしますカード」を作ってちょっと買い物に出たり、喫茶店でコーヒーを2時間位ゆっくり楽しめることができるようになました。それで、気持ちを切り替えて、また「よし頑張ろう!」となれる。それができるようになって楽になったかな。大したことじゃないんだけど、いつも仕事モードに入っているのはしんどいからね。

人儲け

ママの言葉や、ユースで学んだことは本当に多くて面白い経験。

「会う人会う人は福の神」という森岡ママの言葉があるんですが「困った時にお願いをするとお客が入る」とママが言っていたのを思い出して、言葉を書いた額に手を合わせてお願いするんです。面白いのが、本当に予約の電話がかかってくるんです。(笑)

他にも、お客さんから「何か困ってるんですか?」って声をかけてくれることも多くて、そんなに大きい問題じゃないけど私が困っていることが、すぐに解決したりね。

今月はよく売り上げが出たなと思ってたら、何か故障して修理代で出ていったり、逆にお金どうしようとおもっていたらそれに見合うお金が入ってきたりとか。「金は天下の回り物」って本当だなぁと思ったり。

「何かお金じゃないねと思って。人儲けだよね。」

人の集まる場所づくり

「まんまる屋」という上下駅舎でお店もしているんですが、共通点は「人が集まる場所は必要」ってこと。そこに人が集って話してくことで何かが変わっていくと思います。
それに、とにかく残すために今踏ん張っているわけ。私達がやめると確実にユースもなくなってしまうし、駅も寂しくなってしまう。そう考えると、やっぱりもうちょっと頑張らないといけないねと仲間と話をしていますね。

道をつけてしまえば、後は歩きやすいと思うんですよね。残したい、続けたい。そのために必要なお金は稼ぐという感じ。そして私がママの意思を引き継いだように、ユースやまんまる屋も楽しくやってみたいという人に引き継げたらいいなと思っています。私も基本的には楽しいことをやっているし、それがきちんと喜びとして自分に返ってくるからね。

 

************

自然の森 M.G.ユースホステル http://wp1.fuchu.jp/~mgyh/

〒729-3423  広島県府中市上下町矢野470-1

Tel & Fax 0847-62-3244
IP Tel 050-3429-5002

************