2018.09.14

昭和8年創業のアイスの老舗『東屋』 アイスキャンディが、思い出を語らせる

続けることが大事なこと。懐かしの味を夫婦で守る。

昔ながらの「アイスキャンディー」を作り続ける「東屋」の馬屋原ご夫婦(訓吾さん/順子さん)に、お店のエピソードや、思いを聞いた。

「東屋」をはじめたきっかけ

(訓吾さん)

「東屋は、昭和の初め頃から、手作りアイスキャンディーを売りょうて、一度お店を閉めとったんです。」

 

閉めている期間は、周囲の人たちから「アイスはもうせんのか」と、よく言われましたよ。東屋がなくなった後も、地域の人たちからの応援が、ものすごいもんだから、妻とお店の再開を決意したんです。

東屋は府中の人に本当に支えられていたんだと実感しましたよ。

不安はありませんでしたか?

(訓吾さん)

「もちろん不安だらけ」。

 

子供もまだ小さかったですし、お店も昔あった商店街から、今の場所に新しい店舗を構えました。アイスを製造する機械なんかも特殊で結構するんです。一本数百円のアイスを何本売ればいいだろうと考えたりもしましたよ。

ですが、再開してみると当時のお客さんたちが「懐かしいわ」と喜んで食べてくれるんですよ。「あの時はこうだった、どうだった」って、それぞれ子どもの頃の府中の思い出を語ってくれるんです。子どものころ買ってもらったことを思い出すんだと思いますよ。

はじめてお店に来てくれる子供なんかに、「あー知っとる!このアイス!」と言ってもらえるようになってきだして、お店を再開してよかったなぁと思いますね。

一番苦労されたことは何ですか?

夏のシーズンには、夫婦で朝8時~夜の12時まで、三ヵ月間ぶっ通しで休みなく働いていました。今では、とてもできませんがね。特にお盆シーズンは、帰省してきた人たちや、ほかの地方で暮らす家族へアイスを発送する人が多く、忙しく働いていいたことですかね。

 

また、夏以外は暇そうで良いねと思われる人もいるんですが、よく売れる時期とそうでない時期があるよりも、平均的に売れるほうが良いですよね。天候によっても売れ行きは大きく変わってくるし、毎年の台風なんかいつ来るかとドキドキしてます。

ですが、夫婦で役割分担をして、製造に関しては妻が、販売や経営などは私がといった感じで、色々ありましたけど、何とかやってきましたよ。

お店のやりがいって何ですか?

最近は「インコアイス」などで、メディアに取り上げられたりして嬉しんですが、やっぱり「東屋」といえば「アイスキャンディー」なんですよ。昔から食べて頂いているアイスを、今でも昔の思い出とともに買って食べてくれる。モノがあふれるこの時代に、昔ながらのアイスキャンディーを選んで食べてくれる。それが嬉しいことですよ。

  

(訓吾さん)

「普通アイス屋さんて、若い子が来るイメージじゃないですか、うちは、違うんよ。おじいちゃんが多いんよ」(笑)

 

しかも、お客さんで困ったことも一度もないね。みんなアイスを買いに来るとええ人。面白いことに。そういうことが「ありがたいなぁ」と思うし「続けてきて良かったなぁ」と思いますね。

 

一番覚えているのは、府中を離れて暮らしていた方から、

 

「思い出の味をありがとう」。

 

と、手紙を置いてくれていたことがあって。それは、感動したね。あれは忘れられんな。続けていこうと思うたな。

これからの目標は?

「続けること!」

 

実は、子どもも大きくなって、4~5年くらい前から、あと何年お店を続けていけるかなぁと話しながら、終活モードだったんです。ですが、私が還暦を迎えまして。その頃、近所の78歳のおばぁちゃんが、喫茶店を80歳までするって話を聞いて「まだまだやらんといけんなぁ」と、一気にやる気モードに変わったんです。

 

(順子さん)

「急にやる気になってびっくりしましたよ…でもまぁ、決めたなら一緒に頑張っていこうかなと思っています」。

 

訓吾さん)

「なんでも続けることは、大事なことと思いますね」。

府中の思い出を語る肴となる「アイスキャンディー」を作り続ける、馬屋原ご夫婦。お店に行けば「いらっしゃいませ」と親しみやすい雰囲気で迎えてくれる。府中に来たら、東屋で「アイスキャンディーを、是非食べてもらいたい。

『東屋』
住所:〒726-0005 広島県府中市府中町10-21
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日

地方発送は、電話でお問い合わせください。