2019.01.27

『三郎の滝』 滝のおっちゃん

自分から一つずつやる

府中市にある「三郎の滝」。天然のすべり滝として有名な滝は、全国的にも珍しい長さ30mの天然岩の滑り台を清流に乗って滑ることができる。三郎の滝には「龍王荘」があり、BBQや暖かな飲食物を滝や山を眺めながら楽しむことができる。そこで、紅葉の楽しめる滝へと整備を35年間行ってきた浦上さん。彼に三郎の滝への想いや今までの経緯を聞いた。

自分から動く

「よく失敗をしながらやってきた。」

 

人生は失敗しながら大きくなれるいうのがあるけれど、失敗しない方が良い。やってきて逆にそう思うな。

 

それと、まだできるという気持ちがある。残りの生きている時間や寝ることを除いた時間を考えたら、日々できることをやらないと。

全部自分でやりたいと思っていて。この場所も直さないといけないとこがあれば、自分で材料買っては直しています。結局は、気になったら自分で動いてしまう。先走って業者さんに「何もせんでくれ」と言われたこともあるけれど、自分でやることに苦は無いし、自分がやることで周りが助けてくれる。そうやって今までやってこれたと思うわ。人に頼むだけだと、いつまでたってもやることは終わらない。頼むにしても、まずは自分から動かないと。

 

「人を当てにしょうたらいけん。」(当てにしていてはいけない)

 

自分の姿勢だと思う。仕事は、100の仕事があっても一つ終わらせたら残りは99になる。うちの家訓。一つずつ終わらして仕事を片付ける。府中高校の校門にも「一歩前へ」と書いてあるのと同じ。たくさんあるなじゃなくて、一つできたが大事。そこから始まる。仕事がいっぱいあると言ってたら動かんで終わらない。

 

「一つずつ終わらせてやってきたんよ。」

 

「200人分のBBQできますか?」言われたことがあって「できる!」と即答。その後に奥さんに伝えてしまって。おにぎりだけでも400個。どうやろうかと考えていたら、友達と一緒になって一人が20個ずつ作って、準備して、なんとか乗り越えて。そういうこともあった。家族や友達と協力しながら、それも一つずつ。

 

それに、台風とか大雨がある度に、流れてきた石を片付けたり、山の整備をしたり、砂を片付けたり。

そうやってもがきながら、今までやってきたな。

 

 

 

ごみ捨てからのスタート

もともと三郎の滝には、お店が6軒ありました。35年前はこの龍王荘の施設もボロボロ。だんだんとお店が無くなっていくと、来る人も少なくなっていって。人いうのは飽きるので他のとこに行くようになるな。そんな状態からのスタート。

 

3年間は、まずは掃除から。辛抱してゴミの片付けや木の伐採。3年間はそれしかできなかった。歩きやすいように道の整備から、木が茂って眺めが悪ければ、景色が見えるように木を切って、石を積んで、橋を直して。紅葉の木なんて無かった。

お客さんに来てもらえるようにするには、どうしたらよいかと他所の観光地を見に行って、三郎の滝で紅葉を楽しんでもらえるようにしようと思い立ち、一本ずつ植えていきました。そんなことをしていたら、紅葉の木をくれる人も出てきてな。

その人の子供や孫が三郎の滝に行ったら「紅葉を見て、思い出してくれたら良い」と言って何十本もくれて。

 

そういう話が今までに、いっぱいある。銭金じゃなくて、何を自分は残せるかなと考えながら動いています。

 

 

座右の銘があちこちに

「おじさんは感動屋。」

 

来てくれるお客さんの中には、後々手紙をくれる人が結構いて。それが嬉しいな。ここへ来てから、話をして「元気が出た」っていう人もおる。水害があった時に励ましの手紙をくれる人もいて。本当にありがたいし、やりがいよ。おじさんは、全部経験してきたことを話をしているだけなんだけど。

 

間違って覚えてる言葉があるように、おじさんもお客さんと話をしていて今でも「はぁ~」と気づくことがあって楽しいな。

色んな所に行って情報を集めて、今ままで色んな人に会って話をして、自分で色々作ってみて。自分でやってきたことがものすごく役に立っている。それに、本を読んで先人の知恵を学ぶのが好き。童話でも何でもいいから読んだら良いと思う。先人の知恵や戒めが物語の中にあるから。

 

そういう本や、自分の体験してきたことから座右の銘みたいに、その言葉で「頑張れるぞ!」みたいな言葉も大事よな。おじさんは自分で書いて、こうやって貼ってるよ。

 

 

堂々とした生き方で

今年70歳になったけど、自分の人生が波乱万丈で楽しかった。後悔は無いことは無いけどな。それは何かと言ったら「体力が落ちてきたな」と思った時。「早くやりたいことを、やっておけばよかった」って。

 

それにおじさんは、堂々たる人生を歩みたと思ってやってきたな。人のことをどうのこうの言うのではなく、まず自分が動くこと。そして「何が残せるかな」という自分の価値を考えながら、日々できることを一つずつ終わらしてきた。

 

なんでこんな人生かと思うこともあるけど、結局、進んでいく道は自分で決めるんだから決めたら堂々として生きていくんよ。

 

 

三郎の滝のおっちゃんとして親しまれている浦上さんは、自身の35年間のやってきたことの多くは語ってはくれなかった。過去よりもこれから、今日、今から何するかを考えているように感じた。観光地や遊ぶ場所にへ出かけて、当たり前のように楽しめる背景には、滝のおっちゃんのような存在がいるかもしれない。

三郎の滝に行ったら、是非「滝のおっちゃん」と声をかけて欲しいと思う。力強い話が聞けるかも。