備後府中人 BINGO FUCHU PEOPLE

2018.09.14

『安楽寺』 人を喜ばすことで自分が「楽」になる

流布(るふ)を続けていきたい

別名「さつき寺」と呼ばれる「安楽寺」。春になると庭一面がさつきの花で彩られる。その住職である蛎田(かきた)大悟さんに、府中に来られたきっかけや、住職としての生き方について話を聞いた。

安楽寺を継いだきっかけ

「この安楽寺に入ったきっかけは、師匠の一言でしたね」。

 

父が京都のお寺にいたので、幼い頃の最初の記憶は京都なんです。府中から離れ、僧侶とは関係のない生活を京都でしていたんですが、18歳の時に思うところがあり、出家をしました。

そのまま、広島のお寺で小僧をしたり、京都の本山でお世話になったりしていました。28歳の頃ですかね、私の師匠から「縁のあるお寺に入りなさい」と言われ、この安楽寺を継くこととなりました。当時、父は亡くなっていて。師匠の一言がきっかけで、父が生まれ育った府中へと戻る決意をしました。

実際に京都から府中へ来てどうでしたか?

「まずは、住む場所、寝る場所ができたのは嬉しかったですね」(笑)

 

それまでは、いろんなお寺で小僧をしていたので、お寺の寮で生活をしていたんです。そういうところに住みながら、一生お勤めして終わるかなぁと思っていましたから。

移住された後、辛かったことはありますか?

朝起きることですね(笑)今でもしんどいです。「起きたらお昼だった」みたいなことが理想です。ですが、実際は、朝6時頃に起きて、本堂でのお勤めから一日がはじまります。修法(しゅほう)という、言わば、仏さんに挨拶をし、掃除をする。修行から一日がはじまるわけです。

その後、近所の檀家さんが上がってきてくださるので、一緒にお茶を飲みながら「崖が崩れそうじゃけどいつみるんな」「池の掃除のだんどりこれでええかのう」といった世間話をしたり、時には大切な話もしたります。 

お寺を継ぐ不安はありませんでしたか?

来る前は、府中での生活は、全く想像もできませんでした。訳が分かりませんでしたし「もがいていて、今も、もがいているような感じですか」。

 

住職としてというよりも、一人の人として「自分はどう在りたいか、どのようなものか」そんなことを常に考えています。それが全てに現れると思うんです。だから、お寺をどのようにするか、住職としてを考えていないわけではないですが、自分がちゃんとしていたら、上手くいくだろうと。

お寺をヨガ教室として開放されているのは理由があるんですか?

「私が、ヨガをしたかったんです」。

 

どこかに通うと続けられないと思ったので。真言のお坊さんは、瑜伽師(ゆがし)と言って、ヨガのマスターなんですから。一つでも知らなきゃなりません。お寺でやってくれないですかねと、仏さんにお願いしたんですよ。そうすると、たまたま、お寺でヨガをしたいという方が来られて、どうぞどうぞと。

ヨガが終わった後には、みんなでお茶をするんですが、そこでお話しするのは雑学です。例えば「日本で一番大きい砂丘はどこでしょう?」とか。ちなみに鳥取砂丘ではないですよ。

 

僧侶として伝えたいことはあるんです。仏教は、2500年間同じことを言い続けていて、

 

如実知自心、自分を知るということです」。悟りとは、実のごとく自心を知るなりということです。

 

私は、その言葉で僧侶になりました。ですが、いきなりそんな話をしても耳に入るわけがないので、雑学を振りまいて、多少興味を持ってもらったり、話しやすくなったりと、どこかで話ができそうなタイミングをいつも探しているような感じです。癖に近いですね。それを伝えるのが、私の僧侶としての唯一の仕事です。

さつきを、お庭に植えられているのはなぜですか?

この寺では、100年くらい前から先々代から植え始めたそうです。

 

「花の美しさをもって、人の心を供養する」。

 

そういった思いが込められています。人の心を供養するというのは、私も一言ではお伝えできませんが、人を喜ばすということです。喜ぶっていうのは、影に憂いがあって喜ぶということだと思うんです。影のない光なんていう言葉があるんですが「大日如来」を表します。憂いのない喜び、純粋に喜ばすだけ、する方もすることが嬉しい、される方もされることが嬉しい、誰も損をせず、心を喜ばすという供養です。

これからやってみたいことはありますか?

私は、自分のことしか興味ないので、すべての行動の基準は、自分が「楽」になるかです。ですが、人は一人では幸せにはなれません。皆が労うことをすれば、自分が楽になると考えています。仏さんを知る、自分を知るいうことを伝えていく「流布」を続けていければなぁと思っています。

 

私が、お布施を頂けるのは、その代わりに法を渡すから。仏さんの教えを伝えるからで、一方通行ではないんです。お布施を頂けるにふさわしいお坊さんになりたいと思っているもんで、一生懸命に頑張るという感じです。

お坊さんのコスプレしてるやつに、お布施を渡してるって思われるのではなく、ありがたいと思ってもらえるように。

 

備後国府祭りでの催しの企画運営を行ってみたり、青年会議所の会員としても活躍する蛎田さん。彼のもとへ、悩みを相談をしに来る人もいる。彼と話すと、話の全てが最終的に仏教の話になる。是非お寺を訪れた際は、住職とお話をしてもらいたい。

蛎田 大悟

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    『安楽寺』
    住所:〒732-0066 広島県広島市東区牛田本町1丁目5-29